不思議な土器ー1

  謎の造形

 中期は、長い縄文土器発達の過程で徐々に獲得された成果が、遂に集大成された時期である。特に関東・中部の成果は他を圧して目覚しく、豊富な器種の創造に成功した。香炉形土器や釣手形土器はその代表格で、特に入念な装飾と顔面付など独特なモチーフが付けられ、後期以降にも継承される。その用途説はランプ説である。

 さまざまな香炉形土器

この器形は中期中葉から後半にかけ、関東・中部地方に発達するが、北陸地方でも作られ、東北地方はまれである。顔面が作り付けられるもの、文様のモチーフに顔面表現を示すものがある。顔は人では無いかもしれない。釣り手部には蛇の頭が二つ並ぶ。釣り手と口唇上に短い胴体の生き物が配されている。

 香を焚く器(吊り手付き鉢・香炉)

 香を焚いて悪臭を追い、不浄を払う。昇りゆく煙に天なる神への願いを託す。東北地方の後・晩期には、仏具の香炉に似ていることから「香炉形土器」と呼ばれるものがある。高さ径も15cm内外で、頂き近くか周囲の孔の間に紐孔があり、吊り下げて使ったことがわかる。香炉形土器の前身は、紐で吊り下げるため、紐通しを幾つも作りつけた「吊り手土器」である。相対する二方を結ぶ吊り手の他、三方、四方を結ぶ吊手もある。


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