高松塚古墳と過去の地震

 奈良県明日香村の特別史跡、高松塚古墳(7世紀〜8世紀初め)で4月からの石室解体に向けた発掘調査を進める文化庁は2日(200733日、朝日新聞)、石室の約10cm上方の土層で、天上石の東西の縁に沿って走る比較的大きな亀裂を見つけた、と発表した。

 過去の地震が原因と見られ、石室の劣化に繋がった可能性があると言う。

 一方で発掘担当者は、石室近くの土層が入念に突き固められて丈夫だったため亀裂程度で済み、「飛鳥美人」などの石室壁画を守ってきた面も伺えるという。

 主な亀裂は東側に2本、西側に3本あり、長さはいずれも約3,5m,幅は各5o〜2cm

 東西の亀裂から外側へ数本の亀裂が放射状に延びていた。東側では、土層の一部が8cmほどずれた跡も見つかった。

 同古墳では、地震が原因と見られる亀裂や地割れが多数見つかっている。

 築造後、南海地震は9回発生し、1936(正平16)年には1,5`西のカヅマヤマ古墳の墳丘と石室が崩落。

 今回の亀裂もこの地震などで生じたと考えられる。

  産業技術総合研究所の寒川主任研究員(地震考古学)によると、地震で石室の真上の土は周囲より揺れが小さく、この揺れの違いで石室の縁に沿った亀裂が発生した。

 ただの土盛りだったら崩れて無くなっていたかもしれない。

(平成1933日、朝日新聞)

 

 天井石まであと10センチ 高松塚古墳、石室に沿い亀裂

放射状に亀裂が広がる高松塚古墳石室を覆う土層=奈良県明日香村(奈良文化財研究所提供)

放射状に亀裂が広がる高松塚古墳石室を覆う土層=奈良県明日香村(奈良文化財研究所提供)

 壁画保存のため石室を解体する奈良県明日香村の高松塚古墳(7世紀末−8世紀初め)で、発掘調査が石室天井石の真上10センチまで進み、土層に石室の輪郭に沿って複数の亀裂が見つかったと文化庁が2日、発表した。

 過去の南海地震の影響とみられ、これまでに墳丘で確認した地割れが石室まで及んでいることがほぼ確実になった。発掘を担当する奈良文化財研究所の松村恵司室長は「亀裂から水が入り込み、壁画に悪影響を与えた可能性がさらに大きくなった」としている。

 亀裂は天井石の縁に沿って伸び、最大で長さ3.5メートル。幅0.5−2センチで、中には木の根が入り込んでいた。石室を中心に放射状に広がる亀裂も見つかった。一部は壁石の裏側に回り込んでいるという。

 現地を見た京都大防災研究所の三村衛助教授(地盤工学)は「地震の際、硬い石室の上にある土は、石室が支えになってあまり動かないが、周りの土は崩れて墳丘の斜面に沿って滑り落ちる。このため石室を境界に亀裂が生じた」と説明している。

(2007/03/02 19:26、産経新聞)

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送